Loopcloudのマルチトラックサンプル編集ワークステーションは、サウンドにキャラクターを付け加えるために使用することができます。
物理的な世界では、物質の感触、外観などを表現するために「テクスチャ」を使用します。
音楽制作においても、音色やダイナミクスといった同じような意味で「テクスチャ」という表現をします。
テクスチャは、例えば、ストリングス音色があったとして、それがアナログシンセなのか、バイオリンがレイヤーで重ねられているのか、またそのバイオリンも安物のバイオリンなのか18世紀のストラディバリウスなのかを判別するための、サウンドのキャラクターとクオリティを伝えます。
存在感のある複雑なサウンドを作りたいのでしたら、多様なテクスチャーのプロファイルを作成することが有効です。
Loopcloudのサンプルエディタで独自のテクスチャレイヤーを構築することで、どのようにサウンドを向上させることができるかをご覧ください。
レイヤーの作成とブレンド
レイヤリングと呼ばれるサウンドデザインテクニックを使用すると、基本的なサウンドをDAW上で全く異なるものに作り上げることができます。
オーディオレイヤーのコレクションをミキシングして1つのサウンドにアレンジすることで、質感のあるサウンドを作り上げることができます。 通常このようなレイヤリング作業は複雑な工程とノーハウが必要ですが、Loopcloudを使えば、そのような複雑な作業は必要ありません。
Loopcloudのカタログには、あらゆる種類のサウンドが用意されており、既製のテクスチャやアンビエンスを探すには最適な場所です。
Loopcloudのサンプル編集セクションには、8つのトラックスロットとミキシングのためのカスタマイズ可能なパラメータが用意されています。
トラックをクリックして、ピッチやパターンなどのパラメータを調整すると、そのトラックにロードされているサンプルにのみ変更が適用されます。
FX Editセクションに追加したエフェクトも同様です。
複数の要素で構成された統一感のあるサウンドを簡単に作ることができるので、レイヤーサウンドデザインに最適です。
まず、トラック 1 にホワイトノイズサンプルを追加します。
バックグラウンド用のテクスチャを作成するため、 なめらかにループできる比較的均等なボリュームのサンプルを選択することが重要です。
このサンプルはCyberpunk Mid Tempoパックのダウンリフターなので、サンプルの最初のセクションから音量を下げ、より均一なものにします。
ローカットフィルター付きのEQで1kHz以下をカットして空気感を出し、Toneboxに「A Dash of Fuzz」プリセットを加えて多少盛り上げます。
次に、ビニールのクラックル音です。
Lofi Melodies & Beatsパックからクラックルループを抜き出して、トラック2にドロップします。
クラックルは、ほとんど聞こえない状態で使うと効果的です。
そこで、ボリュームオートメーションラインを-10dBまでドラッグして、サンプルのボリュームを下げます。
レイヤーバックグラウンドのアンビエンスを完成させるために、ウインド系のサンプルを追加してみましょう。 CinetoolsのEONのサンプルでウインド系の質感を出すためには、キーボードの音量が重要です。
そこで、サンプルの音量を-16dBまで下げ、ピッチを1オクターブ下げて濁った音にします。
サウンドをエクスポートする
目的のサウンドデザインセッションが完了したら、すべてのレイヤーを1つのオーディオクリップにエクスポートするのがいいと思います。 今回は3つのレイヤーにとどめましたが、まだ残りの5つのトラックがありますので、さらに音を重ねてブレンドすることができます。
レイヤーを追加すればするほど、音の周波数プロファイルが濃くなるので、LoopcloudのEQを使って、レイヤーから不要な周波数を適度に削除しながら追加していくと上手くいく場合が多いです。
すべてのレイヤーを1つにまとめてエクスポートするには、エクスポートボタンからドラッグするか、それをクリックしてオーディオをクリップボードにコピーします。
クリップボードにコピーされたら、DAWのオーディオトラックやコンピュータのフォルダにサンプルを貼り付けることができます。
また、Loopcloudで設定をすることで、今後エクスポートするファイルの種類を調整することができます。
この機能では、いくつかのオプションがあります。
現在のミックス
オリジナルファイル
エディットされたセパレートファイル
エディットされた現在のトラック
オリジナルのセパレートファイル
別ファイルで書き出すと、個々のレイヤーを分離して出力するので、DAWでトラックを分けてより詳細な処理をしたい場合に便利です。
リズミックテクスチャの作成
サウンドに深みと個性を与えるための静的なサウンドレイヤーと同様に、ドラムのバックに差し込むことができる独自のリズムテクスチャを作成することも可能です。
これは、ありふれたビートを一新し、ミックス内のスペースを埋めるのに役立つテクニックで、Loopcloudのパターン・プリセットを使って非常に簡単に行うことができます。
例えば、808のビートにキックが1拍ごとに、スネアが2拍ごとに入っているようなシンプルなビートを考えてみましょう。
これだけでは単調でつまらないので、スパイスを加えてみましょう。 Loopcloudからホワイトノイズのサンプル(ホワイトノイズである必要はなく、どんなテクスチャのループでも構いません!)を選択し、それをダブルクリックしてエディタにロードします。
ドラムトラックの2つのコンポーネントがビートに乗っているので、オフビートにホワイトノイズをレイヤーしてみましょう。
パターンドロップダウンメニューをクリックし、Essential StartersグループからSimple Kickパターンを選択します。
サンプルのピッチを変更し、好みのサウンドカラーを見つけて調整して下さい。
ドラムと最初のリズミカルなレイヤーが互いに作用しあっている状態で、もう1つのレイヤーを追加してみましょう。
トラック2の別のホワイトノイズサンプルを使って、Synth Trance Arp 1パターンを選択します。
これはシンコペーションのリズムを作り出し、ドラムトラックのスペースを埋めます。
ローカットEQでサンプルの高域を強調し、FX EditセクションのPannerプラグインで「1 Bar Smooth Full」プリセットをロードして、ムービングパンを作成することができます。
最後に、低域の響きを追加します。
先ほども述べたように、リズミカルなサウンドの材料となるサンプルは何でもかまいません。
例えば、「In the Field Vol.1」に収録されているエンジン音など、素晴らしい音源があります。
サンプルを1オクターブ下にピッチシフトし、「Techno Hats 5」パターンを選択します。
ボリュームを-12dBに下げ、「Long Cave」などのロング・リバーブ・プリセットでサウンドに響を追加します。
これで、サウンドが完成しました。
さらなるプロセッシング
テクスチャーのレイヤーを構築するとサウンドが豊かになりますが、 今回はミックスを支配してしまわないように注意する必要があります。
EQを適切に使用して、周波数をカットしたりして、ミックスにスペースを作るのが効果的だと思います。
Loopcloudの内蔵EQプラグインを使えば、テクスチャーレイヤーの初期処理を行うことができますが、DAWに取り込んだら、DAWのプラグインでさらなるサウンドのシェイプと加工を継続することが可能です。
ビットクラッシュ、サチュレーション、ディストーションなどを試して、サウンドにさらなるディテールとグリットを追加してください。
DAWの魅力は、非常に精度の高いインストルメントであることですが、その反面、サウンドが非常に静的でクリーンになってしまうという欠点があります。
Loopcloudを使用すると、最大8つの異なるサンプルを重ねることによって、まったく新しい豊かな音楽的音色を作成し、組み合わせることができます。
テクスチャーレイヤー用のサウンドをどこで見つけるかは 様々な方法があると思いますが、Loopcloudの400万以上のサウンドを使えば、あなたが探しているものを見つけるのは難しいことではありません。
検索フィルタを使ってサウンドに磨きをかけ、もしぴったりでなければ、クリップを分割したり、ループの長さを変えたりして、サウンドの一部を使ってみてください。
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