5Pin Mediaが語るMIDIとサウンドデザインの15年、そしてミニマルの進化
2026年9月15日
機材は最小限に、グルーヴは最大限に:正しいサウンドデザインのあり方を追求してきた5Pin Mediaの15年。

2010年以来、5Pin MediaはLoopmastersとパートナーシップを組み、Minimal TechnoからDrum and Bassに至るまで、多様なジャンルのサンプルパックをリリースしてきました。
創業当初から、MIDIは5Pin Mediaの取り組みにおける中核であり続けて、Loopmastersにおいて各サンプルパックにMIDIファイルを付属させた初のレーベルであり、MIDIとサウンドデザインは別々の分野ではなく、同じ概念のふたつの側面であることを証明しようと試みてきました。
MIDI、サウンドデザイン、そしてすべてのミニマルの15周年を記念して、9月15日から23日(イギリス時間)まで、Loopmastersにて5Pin Mediaの全タイトルが「半額」となり、サンプルパック、プリセット、MIDIファイルを深く掘り下げる絶好の機会です。さらに、9月17日からはこのセールに全く新しいリリースである「Deep Tech - The Underground」も加わります。今すぐ5Pin Mediaの半額セールチャンスを活用しましょう!
創設者であるMark Nel氏に話を伺い、レーベルの立ち上げ、DAW付属の標準バーチャル・インストルメントから豊かなサウンドを作り上げる規律、プロデューサーとMIDIとの変化する関係性、そしてMinimal Techのようなジャンルがその魅力を失うことなくどのように進化していくのかについて語ってもらいました。
多くのプロデューサーが最新のプラグインを追い求めていますが、サウンドデザインに関するご自身の哲学をお聞かせください。
多くの人が見落としがちなポイントのひとつは、その時代の華やかな新しいシンセは本当に必要ないということです。私はOperator、Analog、Wavetable、Sampler(Abletonの内蔵バーチャル・インストルメント)の使い方を学びましたが、包み隠さず申し上げますと、これらは本当に高品質で、それらを適切に使う方法を学ぶだけでよいのです。
例えば、Live 11 SuiteでLFOなどのモジュレーターが導入されたことにより、オペレーターにおける単一で孤立していたLFOが補われ、標準のバーチャル・インストルメントで達成できる可能性に深い影響を与えました。また、音を作り、ボタンを押し、ノブを回すこと自体から得られる楽しさのため、ヴィンテージからモダンに至るまで、多くのハードウェアも使用しており、お気に入りの機材の中には、Pro-One、Juno-106、Analog Rytm、Sub 37 Tributeなどがありますが……挙げ出したらキリがありません!

サウンドデザインの上達を目指すプロデューサーに向けて、何かアドバイスはありますか?
小さな課題を自分に課してみてください。好きな音をひとつ選んでそれを再構築(再現)しようと試み、理解するために分解してみるのです。長年にわたり、私はキックからスネアに至るまで、数多くのパーカッシブな音を作ってきましが、そのアプローチとは現実世界の音を取り入れ、それを構成する素材へと分解することです。例えばスネアの場合、それはボディとトーン、余韻を与えるスナッピー、そして皮自体のトランジェント(アタック音)となり、音を個々の構成素材に分離することができれば、シンセシスに対しても同じ方法でアプローチできるようになります。

5Pin Mediaを通じてリリースした「DAWcentrix」パックの制作に取り組んでいた際、私はそのプロセスをさらに推し進めました。かつて808のカウベルを聴いたとき、その周波数の構成を分析し、倍音成分を研究して加算合成を用いてそれを再現する方法を割り出しました。熟練した耳を持つ人だけが違いを見分けられるかもしれないというレベルまで限りなく近づけましたが、ミックスの中に入ってしまえば、誰が聴いても808のカウベルとしてしっかりと認識されます。
そこで気づくのは、全体の80%のところまではかなり素早く到達できるものの、その最初の80%は最終目標を達成するための全体の20%程度に過ぎないということで、残りの20%にこそ本当の作業が存在するのです。
年月の経過とともに、MIDIに対する業界の姿勢はどのように変化しましたか?
プロデューサーたちは、MIDIに対してより寛容になり、親しみを持つようになってきたと言えます。CDでサンプルを販売していた初期の頃は、すべてがドラムループやグルーヴを中心に回って、人々はオーディオデータを扱う傾向がありスライス作業が当時の主流でした。
さらに昔へと遡ると、プロデューサーたちは例えばAKAI S950のような、当時の利用可能なメモリ容量によって制限されていたサンプラーを使って作業をしており、少ない制限の中でいかに成果を上げるかを教えてくれます。それこそが現代におけるもうひとつの問題であり、人々はあまりにも選択肢が多く機能を持ちすぎているのです。当時はサンプルをループさせ、そのディケイを仕上げる作業を手動で管理しなければならないこともありましたが、それがエンベロープの使い方や、そうでなければ決して学べなかったような裏技を教えてくれました。

過去6年以上にわたり、私たちはパックにMIDIを含めてきましたが、私は特にドラム&ベースのパックで行ったような、ビートやドラムプログラミングのためのMIDIに特化したリリースを本格的に再開したいと考えています。それには真のスキルが必要で、単なるワンショットのトリガーモードではなく、サウンドと組み合わせてMIDIを使用する方法やエンベロープをいつ使用すべきかを知ることが求められます。そうでなければ、すべてが泥沼のような台無しな状態になってしまいます。
もうひとつの大きな発展は、当然ながらMPE(MIDI Polyphonic Expression)であり、これがより高度なMIDIファイルへの扉を大きく開いてくれました。

レーベルからの最初のリリースは「Minimal Tech Volume One」でした。それ以来、このジャンルはどのように変化しましたか?
現在のミニマルは、「Minimal Tech Volume One」をリリースした当時のミニマルとは異なっています。あらゆるジャンルがそうであるように、これもまた進化を遂げ、スタイルの間には常に相互交流が存在しトレンドも変化しています。私は、自身のレコードコレクションの多くがLayo & Bushwacka、Eddie Richards、Nathan Coles、Terry FrancisといったアーティストによるNew-School Breaks、Tech Funk、そしてLondon Tech Houseで占められていた時代から来ており、それらはかつて私がターンテーブルでプレイしていたようなTech Houseでした。私にとって、それこそがTech Houseなのです。そこには独特のキャラクターと強力なグルーヴが存在します。
現在Tech Houseと呼ばれているものは、どちらかというとElectro Houseに近く、ブザーのような音や主張の激しいサウンドが盛り込まれ、意見は分かれるところでしょうが、それが本来のTech Houseのあり方であったことは一度もありませんでした。一方で、ミニマルは真の意味で進化を遂げており、そのほとんどが良い方向へと向かっています。Boris BrejchaのようなプロデューサーはHigh-Tech Minimalというサウンドを構築しましたが、その中には2010年代初期のシーンから借りてきたテクニックが今なお脈々と流れているのを聴き取ることができます。
根本的な原則は変わっておらず、小さな変化、繊細な移り変わり、そしてたっぷりと取られた空間で、音楽が息づいているのです。優れたミニマルやDeep Techのトラックには本物の深みがあり、適切なモニタースピーカーで聴けば、一部の素材は前方に出て明るく響き、その他の素材はさらに奥に配置されるといった、真正面から奥行きに至る本物の3次元的なサウンドが得られます。それと現代のTech Houseトラックを比較してみてください。そこではハイハット、シンセ、そしてワイドなミックスが一気に襲いかかって、ダンスフロアのクラブという環境では機能しますし、その魅力も理解できますが、大抵の優れたミニマルは通勤時間中にもなじみ、ほぼアンビエントとして機能しながらも、クラブの環境へとそのまま適応させることができます。プロデューサーがクラブ用のオルタネイト・ミックスを用意するのは、往々にしてそうした理由からです。

また、Rominimal、Minimal House、Micro Houseといったサブジャンルの登場も見逃すことは出来ず、Minimal Techが与えてきた影響力を補強し、Tech Houseが主流となった世界においても、その存在価値を保ち続けることを確実にしています。
優れたミニマル・プロデューサーと、極めて優秀なプロデューサーを隔てるものは何でしょうか?
それは細部へのこだわりと、小さな変化に帰着し、リスナーの関心を惹きつけ続けるために、各素材を協調させて機能させることです。もし私がトラックを聴いていて、それが8小節の間まったく変化のない同じループの繰り返しであれば、それは問題で、大掛かりな展開が必要なわけではなく、8小節のフレーズの最後に小さな音がひとつ現れるだけでも、「おお、これは素晴らしいな」と思わせるには十分なのです。

私が求めているのはまさにそれで、グルーヴを作り出しながら、リスナーの注意を惹きつけることに対して非常に巧みであることです。このスタイルにおいてグルーヴは非常に重要であり、MPCのテンプレで言えば67~70%のような設定が良いフィーリングをもたらすものの、常にスウィングが必要というわけではなく、ルーヴそのものがこの音楽の核心で、それは催眠的であり、グルーヴを基盤としています。
ご自身のサウンドデザインへのアプローチに影響を与えたアーティストには、どのような方がいますか?
昔を振り返ってみると、お気に入りのアーティストのひとつはMinilogueで、彼らが使用していたサウンド、リード、そしてレイヤーの重ね方がすべてでした。かなりシンプルだと思う人もいるかもしれませんが、紐解いてみると、そこには多くのレイヤーが組み込まれています。
もうひとつ本当に楽しんで聴いているのは、元々はモスクワ出身で、現在は主にベルリンを拠点に活動しているSCSI-9というデュオです。彼らは2000年代初頭に活躍し、私がこのジャンルのより深い側面におけるパイオニアであると考えているアーティストで、今なお音楽をリリースし続けています。2010年以降の多くのミニマル・プロデューサーは、彼らによるマイクロサウンドの使用や、サウンド処理における「3D」テクニックから影響を受けました。
このスタイルに特有のミックスやアレンジメントにおける具体的なテクニックはありますか?
変化は重要ですが、控えめに使用してください。大きなリバーブがかかったセクションを作ることもできますが、そうした処理は主にビルドアップのために残しておきます。ミニマルにおいて、大きなリバーブやホワイトノイズは、たまに訪れる特別な瞬間(ドロップやビルドアップ)のために取っておくものであり、プロデューサーがあらゆる要素を過剰に放り込む他の音楽スタイルとは異なります。緊張感を高めている最中であっても、トラックは息づいていなければならなく、ミックスを破綻させることなく、繊細な変化やエフェクトを使って緊張感を作り出すことがきわめて重要です。モジュレーションやリードパートのエンベロープを用いてピッチを揺らすことも効果的であり、実験することこそが鍵となります。

私からの最大のアドバイスは、伝統的な西洋の音階だけに自分を限定しないことで、フリジアンはTechnoにおいて人気のある明快な選択肢ですが、常にEキーでプレイする必要はなく、伝統的な長調や短調、あるいは12平均律の中で作業しなければならないなどと誰も強制していません。研究対象として優れた例は、Aphex Twinです。
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音楽制作において「制約」こそが最大の創造性を引き出すという考え方に、私は強く共感します。現代のDTM環境は機能や選択肢が過剰であり、それがかえって音作りの本質や丁寧なエンベロープ操作を見失わせる要因になりがちです。DAW付属の標準プラグインを隅々まで理解し、音の要素を細かく分析して愚直に再構築していく姿勢は、あらゆるジャンルのクリエイターが見習うべき本質的なサウンドデザインのあり方だと感じます。派手なエフェクトに頼らず、わずかな質感の変化や空間の使い方だけでリスナーを魅了するミニマルの美学には、音作りの真の醍醐味が凝縮されていると言えます。






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