DJ&プロデューサー の新しいサンプルパックがドラムンベースのエネルギーをお届けします。
1 Sep '2022
Zoomでのインタビューに登場したドラムンベースDJ/プロデューサーのGrafixは、忙しい週末を終えたばかりでした。
「昨日、アムステルダムで足止めを食らいました。
Liquicityにとってかなり大きな週末で、皆さんもご存知だと思いますが、スキポール空港からの移動はかなり悪夢のようで、1泊余分に滞在することになりました。
でも、すべてがよかったですよ!」
大きなフェスティバルやツアーは、ここ数年、非常に充実した日々を過ごしているアーティストにとって目新しいものではありません。
2018年にファンに人気のプロダクション・デュオ、Fred V & Grafixの一員としての活動を終えたGrafixは、すぐにソロ・アーティストとして独自の道を切り開くことに取り組みました。
レーベルの本拠地であるHospital Recordsで活動を続けるドラム&ベースの重鎮は、「Distressed」、「Stutter」、「Acid Generation」といったシングルでダークで実験的なサウンドを探求し、Beatport Drum & Bassチャートで1位を獲得しました。
Fred V & Grafix時代からのファンであるAnnie MacやZane Loweをはじめ、Rene LaVice、Danny Howard、Charlie Tee、Mollie Collinsといった著名人からGrafixのソロ作品へのサポートが続々と寄せられています。
さらに、Metrik、Lauren L'aimant、Reiki Ruawai、Chrissie Huntleyが参加したソロ・デビュー・アルバム『Half Life』が発売され、同年末にはアメリカとカナダのツアーが予定されています。
そんな中、GrafixはLoopmastersと協力して、彼の特徴であるパワフルなサウンドを簡単に使えるサンプルパック『Drum & Bass Essentials』をリリースしました。
音楽制作をはじめたきっかけは?
音楽制作を始めた最初の記憶は、14歳か15歳くらいの頃です。
それまで2、3年はエレキギターをひたすら弾いて、パンクを聴いて、バンドに入りたいと思ってました。
パワーコードを4種類使う程度で、楽器に対する音楽性はその程度だったんです。
その頃、近所の友人たちとよくジャムっていたんですが、その中の一人、ベンがFL Studioの入ったコンピューターを持っていたんです。
彼がステップシーケンサーでボタンをクリックしたり、ループを作ったりしていたのを覚えています。
このとき初めて、コンピュータでこんなことができるんだということを知りました。
家に帰ってFL Studioのデモ版をダウンロードし、それから1年半ほど使いました。
デモ版なのでプロジェクトを保存することもできません。
数日後にプロジェクトに戻って作業する必要がある場合は、トラックを完成させるまでプログラムを開いたままにしておき、それから次の作業に取りかかりました。
それが、DAWでシーケンスに手を出した最初の経験でした。
当時はエレクトロニック・ミュージックを聴いていたのですか、それともまだパンクを聴いていたのですか?
ドラムンベースは、ブレイクビーツやハウス、テクノと並んで、私が最初に興味を持ったエレクトロニック・ジャンルです。
16歳のときにドラムンベースにのめり込みました。
多くの友人がドラムンベースを聴いていたし、年上の友人たちはレイブに行き始めていました。
16歳か17歳の時に友達のIDを盗んでクラブに入るなど、まだ少し若かったかもしれませんが、徐々にそのシーンにのめり込んでいきました。
Stanton WarriorsやPlump DJsなど、エクセター(イングランド南西部、デヴォン州の都市)で活躍していた様々なドラムンベースの人たちをよく見に行ったものです。
FL Studioを使って、そのようなスタイルのトラックを作ろうとしたものですが、ひどいインディーパンクのコピーもあったかもしれません。
今、これらのプロジェクトを聴くことができたら面白いけど、聴けないのもちょっと嬉しいですね。
FL Studioの後、どのようなDAWに移行されたのですか?
FL Studioの後は、MacbookとLogic Proを手に入れました。
フレッドと一緒にプロデュースを始める頃までは、4年ほどLogicを使い続けました。
当時、彼はAcid Pro、私はLogicを使っていたので、オーディオエンジンやツールの異なる別々のDAWで曲を仕上げることが多かったんです。
当初はミックスの整合性がバラバラだったので、その後一緒にプロジェクトを進めるためにAbleton Liveを導入しました。
Abletonはここ10年か12年使っています。
なぜ、ソロではなく、プロダクション・デュオになったのだと思いますか?
何よりもまず、フレッドと私は最初に出会ったとき、ソロのプロデューサーだったんです。 デュオになるように強く言われたわけではありませんが、ホスピタル・レコードが与えてくれた選択肢のひとつでした。 彼らは私たち2人をデュオとして契約したかったし、私たちのどちらかを置き去りにしたくなかったのでしょう。
その時点で、フレッドはホスピタルからソロ曲を1曲リリースしていて、彼らは私の曲も聴いていたけれど、まだ完全には何も契約していませんでした。 僕たちは彼らにソロ曲やコラボ曲を送っていいましたが、彼らはコラボ曲が好きで、プロジェクトを一から作りたかっただけだと思います。 その前に何曲か一緒に作ったことがあったので、デュオとして契約すると言ってくれて、こうしてデュオになりました。
スタジオでは、ソフトウェアとハードウェアのどちらを使うのでしょうか?
間違いなくソフトウェアの方が多いですね。
ハードウェアはProphet 6を持っていて、時々奇妙なアンビエントやテクスチャーを探したり、ギターやペダルを使ったりして、曲を作り始めるときに使っています。。
Prophet 6から得られるものはSerumなどでは得られないものなので、良いインスピレーションの源であることは間違いないのですが、基本的にはソフトウェアを多く使っています。
現在、特に気に入って使っているプラグインはありますか?
Trackspacer、Soothe、Neutronなど、クリエイティビティを刺激するというよりは、ミキシングに関連するプラグインがお気に入りです。
すべてがフリーズ/フラット化され、ステムミックスの段階で微調整ができるプロセスがとても気に入っています。
Drum & Bass Essentialsの制作はいかがでしたか?
興味深い経験でした。
また別のサンプルパックを作りたいし、それをさらに発展させたいと思っています。
自分のトラックでやっているのと同じように、しようと思い、アンビエントのループは、ProphetのパッチをShimmerや他のエフェクトに通して作りました。
また、Serumで作られたベースヒットやループ、そして少し変わったFXのループもあります。
全体として、ドラムンベース・トラックに加えることのできる、ちょっとしたソースがたくさん入っています。
サウンドはとても使いやすいし、ドラムトップのループやビルドの多くは、僕がこれまで様々なトラックで使ってきたサウンドで、とてもうまく機能していると思います。
ダンスフロアのドラムを素早く作るための簡単で新鮮な方法だから、誰かの助けになればいいなと思います。
サンプルパックを使い始めるにあたって、どのようなことをお勧めしますか?
デモトラックを聴いてもらえばわかると思いますが、この中に入っているものは全て実際に収録されているものばかりです。
ベーシックなアルペジオとベース、そしてドラムループだけで、クールなダンスフロアのトラックを作ることが可能です。
サンプルの扱い方は人それぞれだと思いますが、私がよくやるのは、ループを切り取って、そのループから他のものを作ることです。
必ずしも8小節の展開全部を使わなくてもいいですし、ユーザの好みでいいと思います。ループからヒットを取り出し、それを繰り返したり、リバーブをかけフリーズさせてそれを反転させることなどたくさんの方法があると思いますので、サンプルを全く別のものに変えて使って下さい。
今後、ご自身のサウンドはどのように発展していくとお考えでしょうか?
『Half-Life』では、長い間やりたかったサウンドとアイデアに触れた気がします。
常に選択肢を提示されるわけですが、その中で新しい道を切り開くのか、それとも上手くいくことにこだわるのか?
今後は、両方のアプローチをうまく組み合わせて、もう少し自分を押し出したいと思っています。
私のゴールは、ダイナミックでハイエナジーなミックスを実現することで、ホームリスニングには十分デリケートで、ダンスフロアには十分な大きさとダイナミクスを提供することです。
その相乗効果を狙っているのですが、今後は、音楽的な空間や、トラックの中での音源をより少なくすることを試してみたいと思っています。
Metrikとは曲作りの前にこのようなゴールを設定し一緒に作業することが多いですね。
ドラムンベースは今ちょっとしたブームになっていますが、あなたにインスピレーションを与えてくれるアーティストはいますか?
ImanuとCaracalのプロジェクトにはいつも感心させられますね、彼らは誰よりも革新的だと思います。
K Motionz、Subsonic、Lee Mvtthews、Pirapusなど、ダンスフロアのプロデューサーの新しい波もとてもフレッシュです。
彼らは皆、本当に質の高いダンスフロアのドラムンベースを作っていて、私たちを飽きさせなく、見ていてとても楽しいです。
そういう人たちとはよく話すから、これからもたくさんコラボレーションを考えています。
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